遺産分割の必要性

遺言がないまま被相続人が亡くなった場合、財産が現金や預貯金など、頭割にできるものばかりであればいいのですが、多くの場合は、例えば不動産など、個々の物をみんなに均等に分けるのは現実的でないものが含まれています。

特に不動産などの場合、共有では使いにくいので、誰かが単独で取得して、他の相続人には現金を渡す、というような形で分配されるケースが多いと思います。

このような場合には、相続人全員で話し合って、誰が何を相続するかを決めることができます。
これを、遺産分割協議といいます。

相続分を参考に、公平に分配されるように協議を進めていくのが普通ですが、財産の価値は、利用する人によって様々ですから、必ずしも時価や固定資産評価額を前提にして厳密に相続分通りに分けなければいけないということではありません。例えば、例えば、どうしてもほしい不動産があるので、その他の財産は相続分以上に遠慮する、というケースも多々あります。

遺産分割協議書の作成

遺産分割がまとまった場合には、遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書がなければ遺産分割ができないというわけではありませんが、売買契約書などと同様、証拠として作成するべきです。

また、不動産の所有権移転登記をするためには、遺産分割協議書を申請の際添付しなければいけませんので、なおさら作成の必要性が高いといえます。

預貯金などの取扱

現金や金銭債権など、頭割りにできる財産は、自動的に頭割りで相続することになるというのが原則です。

ただ、裁判所では、原則としてこの原則を貫きつつ、相続人全員の合意により、不動産などと同様、遺産分割の対象とすることができるとの運用がなされています。

預貯金も、かつては同じように扱われていたのですが、最高裁が判例を変更し、自動的に遺産分割の対象になりました。

多くの場合預貯金債権が遺産の主要な部分を占めますし、不動産などと違って皆で分けやすいので、合理的な遺産分割協議を行いやすくなりました。
しかしその反面、遺産分割前だと銀行からの払戻を受けることが出来ないことになりかねず、相続人同士の仲が悪い場合には、何年も口座が塩漬けのままになってしまう可能性が出てきました。

そこで、2019年7月から施行された改正相続法では、遺産分割前に払戻を行う制度が創設されました。

まず、相続分の3分の1の金額までは、払戻を認める制度があります。例えば、夫が死亡し、預金が1500万円あり、相続人が妻と子ども1人の場合、それぞれ250万円ずつは払戻すことが出来るわけです。

しかし、預貯金が少ない場合、3分の1では、葬儀費用さえ確保できない場合も考えられます。そこで、遺産分割の調停、審判を申し立てた上で、他の共同相続人の利益を害しない限りにおいて裁判所が預貯金債権の全部または一部を仮に取得させる仮処分の制度が出来ました。

つまり、当座は3分の1の払戻を受ければ十分な場合には、金融機関に払戻を求めればよいのですが、それ以上のお金が必要な場合は、遺産分割調停を申し立てた上で、裁判所に仮処分決定を出してもらう必要があります。もちろん、裁判所に払戻が必要だと認めてもらうことが必要です。

協議がまとまらない場合の手続

遺産分割は、相続人の思惑が交錯し、うまくまとまらないことも多いようです。

まとまらない場合は、裁判所の手続を利用することができます。

ただし、いきなり裁判官に結論を出してもらうことはできず、まず、家庭裁判所に調停を申し立てて当事者間で話し合う必要があります(調停前置主義)。調停は、裁判所の調停委員が間に入り、話し合いをまとめる手続です。

それでもまとまらない場合には、「審判」により、裁判所が財産の分配方法を決定します。分け方を決めます。

なお、調停、審判は、財産の分け方が決まらない場合に利用する手続ですが、それ以前に、どのような財産が遺産に当たるのかということ自体に争いがある場合があります。この場合には、「遺産確認の訴え」という地方裁判所の訴訟手続をする必要があります。

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