債権回収の必要性

民事の請求において、債権回収というのは、弁護士業務の典型的な分野の一つです。
しかし、経済活動をしていれば、債権回収は日々行うもので、弁護士に依頼する場面というのは、相手がおとなしく支払ってくれないというケースだけです。
普通に支払ってくれれば弁護士に依頼する必要はないのに、と思って躊躇してしまうかもしれませんが、その躊躇が回収できなくなってしまう原因になるかもしれません。

一口に、債権回収が必要(=相手が普通に払ってくれない)な場面といっても、相手に支払わない言い分がある場合と、相手も支払わなければいけないと思っているが、資金不足で支払えないという場合です。
当然のことながら、この2つの場面では、考えるべきことが違ってきます。

なお、最も債権回収が問題になることが多いのは企業間取引であることから、以下ではそのような場面を念頭に置いて説明させていただきます。ただ、個人間取引や企業体個人の場合にも、同じような問題は生じます。

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相手に言い分がある場合

相手に何らかの支払わない言い分がある場合には、その言い分を検討する必要があります。言いがかりに近いの場合もあれば、一理はある場合、こちらが相応に譲らざるを得ないくらい正当な場合、など、内容は様々でしょう。
いずれにしても、お互いの立場、考えが違うのですから、こういう場合の債権回収に必要なのは、合意または判決により結論を出すことです。結論さえ決まれば、債務者も、それに従った履行をするでしょう。

うまく話がまとまればいいのですが、紛争が生じた場合、ご本人はついつい感情的になりがちで、客観的な判断ができなくなる場合もあります。弁護士は、法的観点を考慮しつつ、貴方の味方でありながら、かつ一歩引いた目で判断します。ご自分が交渉する段階でも、早めにアドバイスを聞いておくことは非常に有用です。こういった判断は、究極的には経営判断ということになりますから、最終的には経営者、責任者が判断すべきです。しかしその判断の前提には、法的な判断の見通しが非常に重要です。その部分が誤っていれば、経営判断も間違う可能性が高くなってしまいます。

具体的な解決への道筋を非常に単純化すれば、ある程度譲っても早期に解決したい場合には交渉によることになるでしょうし、交渉での解決が難しいようなら、訴訟ということになるでしょう。

相手が資金不足の場合

一方、資金不足の場合には、どうやって早期かつできる限り大きい金額を相手から回収するか、という点が問題になります。皆さんが「債権回収」と聞いてイメージをするのはこのようなケースでしょうし、他の法律事務所のホームページでは、こちらのみを念頭に置いて説明するものが多いようです。

この場合、相手は、キャッシュフロー不足(資金繰りが回らない状態)になっているわけですから、払いたくても払えないわけです。極端なケースでは、明日にも倒産するかもしれません。
しかし、資金不足になったからと言って、すぐに倒産するとは限りません。多くの企業では、返済猶予を依頼するなどして、最低限の資金繰りを確保して、できる限りの改善を図ろうとする方が普通です。

まずは相手の状況を見定めることが大事です。
同じ滞納になる場合でも、相手が支払猶予を求めてくる場合、無断で滞納する場合、いずれも考えられるでしょう。支払猶予を求めてくる場合には、その支払猶予が債権回収にとっていい影響を与えるかどうかを見定める必要があります。
あなたが猶予することで会社が好転するかもしれませんが、いいように後回しにされるだけで早期に動けば回収できたものもできなくなるかもしれません。今後の取引や相手のキャラクターなども踏まえ、じっくりと見定めることが必要です。

この時期というのは、場合によっては、相手の内部情報を開示させるチャンスである場合もあります。貴方の支払猶予が会社の命運を握っているような重要取引先の場合、誠実な説明をすることで支払猶予を引き出す、ということもありうるでしょう。
そうやって、できる限りの情報を集めた後、どのような方法を使って回収を考えるかを検討することになります。

弁護士が依頼を受けた場合、任意交渉から法的手続まで、様々な手段を考えます。
これについては、ページを分けて説明させていただきます。
債権回収の具体的な方法についてはこちらから

顧問契約の有用性

債権回収というのは、その時々の状況を判断し、臨機応変に対応していくことが必要であり、早めに、弁護士と相談することが重要です。
ただ、普段から弁護士と密な関係を築けていないと、どうしても初動が遅れがちになります。また、特殊な業種の場合、業界慣習などを理解するのに時間がかかる場合もあり、紛争になっている場合に、うまくポイントを突いた交渉をすることが難しい場合もあります。
これらのことからすると、顧問契約を結び、普段から些細なことでも相談する体制を築き、少し話をすれば状況を把握してもらえるような環境を作っておくことは、非常に意味のあることです。その意味でも、顧問契約をお勧めします。顧問契約についての説明はこちらから

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