最近、少しバタバタしており、出張続きでした。

そんな中で、児童自立支援施設や大学病院などの見学(この2つは全く関係ありませんが)などにも参加しています。

児童自立支援施設でも色々と勉強になったのですが、今回は昨日の、大学病院の見学について書きたいと思います。

医療過誤の事件は、専門的な色彩が強いため、東京などでは、医療専門部を設け、それらの事件ばかりを取り扱う体制となっています。広島でも、「医療集中部」として、広島地裁本庁の民事第1部というところで、喧嘩の全ての医療事件を扱うことにしています。といっても、医療事件の件数は(広島では)年々減っており、新規事件は年間10件台。それらの事件だけを担当するだけでは件数が足りませんので、「集中」させるだけで、「専門」というわけにはいきません。

私はといえば、医療過誤事件はここ10年くらい、医療事件の手持ちが0になったことはありませんので、広島の弁護士の中では、医療事件は多い方だと思います。

裁判所主導で、弁護士会、医学界での協議会が開催されており、その中で、相互理解を進める必要があるということで、医師を対象として裁判に関するイベントがあったり、逆に裁判所や弁護士を対象として病院の見学会を年々計画しているようです。

前置きが長くなりましたが、今回は、広大病院の見学があったので、よい機会だと思い、参加してきました。医療現場で、取り違いを防ぐためにバーコードを導入したり、指さし確認や患者ごとの仕分けをダブルトリプルでチェックしたりといった対応をしているという説明、また、院内感染を最小限にとどめるために、MRSA感染などのモニタリングをし、院内感染が疑われる場合は徹底して菌の調査検出を行ったりしているという話をお聞きしました。

また、余談ですが、ハイブリッド手術室(CTなどの大規模検査設備がある部屋で手術をそのまま行える形にし、検査しながらの手術を可能にする設備)や、ダヴィンチ(手術支援ロボット)等の最新設備を見せて頂いたりもしました。

広大病院での院内感染や取り違えに対する対応は、そこまでするか、というほど厳重なものです。命の尊さから当然という考え方もあるでしょうが、ここまでしておいて医療過誤を疑われるのは侵害であるという医師側の気持ちもよく分かります。
実際、医療過誤の相談を受けることは結構ありますが、事件として医師側に責任が認められるかな、と思う件はせいぜい1割かそこらだと思います。そのように厳選しても、裁判で責任が明確に認められる例はさらに少ないのです。

しかし一方で、これらの対応というのは、医療過誤事件が頻発したことにより、改善が図られた結果でもあります。欠陥住宅でもそうですが、専門家による仕事というのは、改善するきっかけがあれば、確実に被害は減っていきます。その意味では、努力も無駄ではないと思います。

草の根の同業者は、旧態依然としたままだったりして、被害がなくなることがないのもまた事実ですが・・・。