法科大学院、9割が定員割れ

さすがにこのニュースに触れないわけにはいかないかな、と思い、久しぶりにブログを書こうと思います。

入学者1人の法科大学院も…入試9割超定員割れ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150511-00050106-yom-soci

一番の問題は、能力面の確保が全くできていないことです。

私は常々、司法試験のレベルを大学受験に例えて、我々(合格者750人時代の旧試験)の頃の試験のレベルが偏差値70くらいだったとしたら、新試験の試験レベルは偏差値60を切っている、という説明をしています。
私の感覚だと、私の5年後輩くらいから微妙な人が受かり始め(この頃は旧試験でしたが人数が倍増してきた時期です)、新試験が始まった辺りから、完全に選抜試験とはいえないレベルまで下がってしまった、という感覚です。その試験でも通れなかった人は多数いるわけで、若い世代からはある程度の反論はあるかもしれませんが、少なくとも事務処理能力は全く比較になりません。

司法改革の失敗は既に色々なところで問題になっています。我々の収入に影響しているということも否定はしませんが、収入の確保ができないところに人材は集まりません。まさにこの報道は、そのことを如実に表しているでしょう。3000人合格させるという制度だったところで、そもそも2200人しか入学しないという事態ですから、質はどんどん低下することが明らかです。

大学を出るだけではなく、2~3年かけてロースクールに通い、さらに翌年試験を受け、翌年は貸与という形で司法修習を受ける。1000万円からの借金を抱えて、大卒の20代の正社員が普通にもらう給料と同等の収入が確保できるかどうかも分からない、というのでは、まともな人材が集まるわけもありません。
収入の話をすれば、既得権だという反論がありますが、少なくとも、人材というのは、収入を前提にして人が集まるものです。若い人材が揃わないということは、業界自体のレベルが低下するということを意味します。

利用される側にとっての一番の問題は、ハズレの弁護士を引く可能性が上がることです。大企業などであれば別ですが、多くの方にとって弁護士を利用する機会というのは滅多になく、トラブルが起きてから慌てて探すもの。じっくり選ぶ余裕はありません。
かつては、適当につてを辿って弁護士にたどり着いても、最低限の仕事ができる方が普通でした。しかし現在は、能力的にも必ずしもそうではありません。さらに、収入が少なくなったことから、かえって1件辺りの単価を上げざるを得ないと考えている弁護士も多いです。さらには、派手な宣伝をすることで、十分な能力がなく、かつ値段が明らかに高くとも、事件を集めている事務所が跋扈している現状です。
私もホームページでの広報には力を入れている方なので、宣伝自体を否定するつもりはありませんが、単発仕事を集める場合、能力がなくとも、宣伝がうまければ仕事が集まってしまいます。
利用者の方々にとって、弁護士選びがギャンブルになってしまっているのです。

本当は、ある程度の広告規制をした上で、数年間は、新規の試験を行わないというような大なたを振るわない限り、かつてのような誰を選んでも最低限の仕事はしてくれるという状態には戻らないでしょう。もちろん、それが無理なのは明らかですが。

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