長らく放置しておりました・・・。
昨日突然、テレビ朝日の人から電話があり、翌日(今日のことです)の朝の「モーニングショー」という番組で扱う題材についてコメントをもらいたい、と言われました。
地元の新聞とかであればこういう取材はたまにあるのですが、全国ネットの朝の番組からそういった問い合わせは経験がなく、何かと思ったら、以前書いたこの記事が目にとまったようです。
扱い題材というのは、よく似た話で、マンションの敷地内(1階の廊下とか)に自転車をあまりによく止められるので、「自転車捨て場。ご自由にお持ちください。」というような貼り紙をした、という件についてでした。
まあ、よく似た題材ですよね・・・。
ここで、私は、説明用のパネルボードに写真付で、持って帰った人は逸失物等横領罪、貼り紙をした人にはその教唆罪が成立する可能性がありますよ、とコメントしたことになっていました。
いや、確かにそういう説明はしたので、「なっていました」というのはちょっと語弊がありますが・・・。
正直、直接相談を受けたら、これだけの説明をすることはまずありません。コメンテーターで菅野朋子さんという弁護士の方が出ておられ、苦笑しながら「まあ確かにそうですね」といわれていた気持ちが非常によく分かります。というか、そんな難しい話じゃないんだから弁護士がコメンテーターにいるならその人にしゃべらせろよ、と思いましたが(笑)
テレビの場合、
(1) 時間がきわめて限られる
(2) 影響力が大きすぎて、一番「固い」内容が中心にならざるを得ない
という制約があります。かつてのノンアルコールビール(アルコールが完全に0ではなかった)を飲んで運転してはいけない、といったものもそういう影響ですね・・・。
法律というのは、杓子定規に適用しすぎると、非常識というか妥当性を書く場面というのが多々あります。今回のケースなどは、まさにそんな感じですね。
法律的には、
① 違法なことをしている者であっても、所有権は保護されなければならない
② 自力救済は禁止
というのは絶対の原則になります。
したがって、他人が違法駐車をしていても、それにより損害賠償や撤去を請求することは出来るが、勝手に処分したり、どかせたりというのは法的には許されないんですね。
そこだけをまとめると、「犯罪になります」という話になりますし、家の敷地に勝手におかれても、その分の迷惑料はもらえますが勝手に撤去したら相手の所有権侵害になります、という話になってしまうんですね。
かといって、いちいち裁判を起こして撤去請求したり損害賠償請求をしたり、というのは非現実的なわけです・・・。なので、相談を受けたときは、「本当は駄目なんだけど、相手も悪いんだから、どかせるくらいは自己責任でやる分には仕方ないですね。でも、捨てたりしたら、その分の損害賠償請求をされますから辞めた方がいいですよ。」という話になります。
また、このような貼り紙、理論上は逸失物横領の教唆の問題になるのですが、警察が本当に動くとも思えません。なので、法律上は該当するので、弁護士としてはおすすめは出来ません、とは言いますが絶対駄目とまでは言いません。事実上の効果として、止めなくなる効果はあるでしょうし、本当に持って行く人がいるとも思えませんから・・・。
でも、こんなことをテレビで言うと、「捕まりはしない」→「やってもいいと言った」と変わってそれだけが一人歩きしたりするんですよね・・・。
パネルにちょっと写真と名前が出ただけなのに、知り合いの方から意外と突っ込みがあったのもあり、ちょっと言い訳させていただきました。ほかの番組を見ていて極端な見解が出てきたとしても、テレビというのはそういうもんだと思ってみていただければ幸いです。