先日、クレジット会社から東京の裁判所で訴訟を起こされた、という相談がありました。

私は耳慣れないクレジット会社だったのですが、調べてみると、大手のクレジット会社が(おそらく損切りのために会社分割した債権回収会社のようですが、法務省のページを見る限りサービサー登録に名前はありません。専ら引き継いだ債権の回収のみを行っているようです。
請求の根拠は、「債務承認弁済契約書」でした。

相談を受けた時、明らかに時効が来ていそうな案件で、それだけ追いかければ解決かな、と思ったのですが・・・。本人はそもそも、債務承認弁済契約どころか、そもそも借りた覚えがないといいます。
そして、元々の債務が発生する契約には一切言及がなく債務承認弁済契約だけ。債務承認弁済契約を結んで以降の支払は0の前提での訴状。何かおかしいな、と思い、証拠と契約書を見てみると、不自然な点がたくさん目に止まります。
①例えば…270万円の契約なのに、収入印紙が200円しか貼っていない(200円は10万円以下の契約書に貼る金額)。
②収入印紙の割印が収入印紙の上に押されていない(割印の上から収入印紙が貼られており、上の部分だけの半円になっている)
③契約書というタイトルなのに、債権者の署名押印はおろか、どこが債権者なのかの記載さえない

分割元の会社は超大手。そんないい加減なことをすることは考えがたい会社です。

署名などは本人の字だと思う、というのですが、どう考えても不自然すぎ、これ、そもそも契約書自体が偽造なんじゃないか?とまで思いました。

どうせすぐ取下げてくるだろうと、その前提での着手金だけもらい、この点と時効援用を指摘し、東京なので、Web会議希望、と東京地裁に打診したら、まさかの期日変更の上支配人がWeb会議に出席するとの回答だったようで…当然支配人資格はあらそうと伝えましたが、こんな反論されたらぐうの音も出ないような訴訟でWeb会議やるの?と狐につつままれた気分でしたが…。

Web会議の調整文書が裁判所から届いた5日後、取下げてきました。一体何だったんだ…。

名誉毀損とか言われても面倒なので、会社の名前は伏せますが、大手から切り離された会社辛みの覚えのない請求、古い請求が届いた肩は、くれぐれもご注意ください。