依存症克服の困難性~田代まさし氏の記事から考える~

田代まさし氏がトークショーを行う、という記事を見かけました。
http://www.oricon.co.jp/news/2049119/full/

覚醒剤と芸能人、という見方も一つではありますが、一度失敗したらすべてを否定される、待たされるべきであるかのような風潮が強い中(一時期、ASKA氏の作品の販売を中止するべきだというような話もありましたし)、たくましさに感心するというのが私の個人的な感想です。
程度の差はあれ人間誰しも失敗はするわけで、死亡するような大きな失敗は避けるべきなのは当然としても、やり直しの機会は与えるべきだろうというのが基本的な発想です。

覚醒剤は、よく、なかなかやめられないという話がありますが、覚醒剤に限らず、快楽に関するものは依存性が強いことが多いようです。覚醒剤の場合は禁断症状が出たりと、特にその傾向が顕著ですが、別に薬でなくとも、やめられないものというのはたくさんあります。

例えば、万引や痴漢、盗撮、ギャンブルといったものも、依存性の強さが言われていますが、これらは、別に何か薬物が作用するわけではありません。
そのためか、強い意志を持てば止められる、と思っている人が多いようです。しかし、それにも関わらずついやってしまうようです。

私は、なぜか、痴漢の事件の弁護をする機会が結構あったのですが、正業に就いているのに、奥さんもいるのに、痴漢が止められず刑務所にまで行った人もいます。本人は、強い意志を持てば止められると思っていますが、止められません。
刑務所にいる間にも禁断症状が出たりするわけではないので、出たらもう大丈夫だと思うようです。しかし、物理的に可能な状態になると、気をつけてもついやってしまうのです。

私は脳医学には造詣は深くありませんが、脳に、快楽の記憶が残っており、スイッチが入ると自分の力では我慢ができなくなるというようなメカニズムだとされているようです。例えば、好みの子が目に入ると、ほとんど自動的にやってしまう、というようなことです。
これを防止する策については、まだまだ精神医学の世界でも発展途上でなかなかいい結果が出ないようです。

一般的な治療法としては、認知行動療法(例えば、そういった衝動が起きそうなときに、自分に罰を与える(つねるとかそういったことです)ことでその衝動と快楽の結びつきを罰との結びつきに変えていく)という方法などが用いられるようです。あるいは、向精神薬を投与して、そもそも衝動そのものを押さえる、という方法もとられるようです。

いずれにしても、専門家の関与によっても、依存症を克服するのは決して簡単ではありません。ましてや、自分の意思でなんとかする、というのは不可能に近いのです。

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