先週の半ばのことになりますが、国民生活センターがこんな発表をしていました。
アダルトサイトでのワンクリック詐欺というのは定番の詐欺形態です。例えば、「無料」と書いたリンクをクリックしたら、いきなり「登録完了 98000円お支払い下さい」というページに飛ぶ、というようなものです。
こういうサイトは、たいてい、「解約」のための連絡先を用意していて、そこに連絡してきた客をカモにします。実際には、こんな連絡などせず放置していれば、請求が来ることはまずありません。
ところが今のネットでは、この解約交渉をするという行政書士が跋扈しているというのです。
前述のように、このような詐欺は、放置していればそれで十分です。一方で、法律的な紛争ですから、解約しようとすれば、弁護士か特定司法書士(140万円まで)に依頼するしかなく、行政書士には権限がありません。
行政書士というのは、紛争のない案件に対して、書面作成を代行することしかできません。紛争性がある案件については、行政書士は業務として取り扱うことができません。
つまりこの種の案件で、解約交渉を行うことを宣伝する行政書士は、放置しておけばすむ案件について、あえて相手と連絡を取って解約をすると持ちかけており、しかもその交渉は、自分の資格では権限がなくやってはいけない行為でもあるのです。
我々には常識ですが、中々インパクトの強い発表だったらしく、結構各社が報道していたのですが、その中でも、この記事は頂けませんでした。
アダルトサイト高額請求、行政書士が「違法」交渉
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150514-00000055-asahi-soci
この記事によると、行政書士は、解約の相談に乗ることはできるが直接交渉はできない、という内容になっています。しかし、前述のとおり、これは間違いです。行政書士は、あくまでも書面作成のサポートしかできませんから、紛争の解決については、一切の相談に乗ることができません。これができるのは、弁護士か、特定司法書士(140万円までの場合)だけです。