消費者庁移転問題について

政府機関の地方移転について、首都圏外の地方自治体から要望を募集したところ、徳島県が消費者庁の誘致を要望しました。担当大臣はこれを前向きにとらえているという報道がなされています。消費者庁の徳島誘致「非常に可能性ある提案」河野担当相、日弁連は移転反対

これは、消費者庁だけでなく国民生活センターもセットで移転するという案なのですが、日弁連は反対の意見書を出しました。
私が所属している日弁連消費者問題対策委員会で議論され提案した内容ですので、若干、その理由について説明したいと思います。

消費者庁・国民生活センターの地方移転に反対する意見書

まず、日弁連は、全ての省庁の移転に反対しているわけではありませんし、私も地方在住者ですから、個人的にも、ある程度官庁の機能が分散することはむしろよいことだとも思っています。

ただ、消費者庁の移転は、あまりに無茶です。というのも、消費者庁は、かなり立法にも関わらざるを得ない、しかも単独ではなく、田の中央省庁との折衝を経て活動せざるを得ない省庁だからです。消費者庁というのは、あらゆる問題において、消費者の立場から提言を行う横断的な省庁です。国会、経済産業省、国土交通省、財務省、内閣府消費者委員会、あらゆる省庁、機関、諮問委員会などと折衝、連携しながら、法律や制度を作っていく職責があります。つまり、常に田の省庁と連携してやっていかなければ行けない省庁です。加えて、挙げたような省庁に比べると歴史もなく、権力もありません。ただでさえ弱い省庁が中央から離れてしまえば、ますます十分な発言力を行使することが難しくなってしまいます。最近は、ほぼ毎回国会で消費者に関連する立法が審議されているはずですが、会期中は職員はずっと主張するのでしょうか?
まして、徳島というのは、移動の面から見ても、あまりに不利な感は否めません。大阪や名古屋、仙台といった幹線沿いの主要都市であれば、全くなしだとは思いませんが・・・。

ただ、地方移転にはそういう不便は前提だろう、という意見もあるでしょう。しかし、上記のような特殊性もありますし、政府機関の要望は69機関について出されましたが、いわゆる中央省庁の中で移転要望が出たのは、7つに留まります。そして、消費者庁のように、頻繁な立法と他省庁との折衝の必要性が顕著な機関はほかにはほぼないといってよいでしょう。強いて言えば中小企業庁は消費者庁と同じような側面もありそうですが、移転要望は大阪ですし、消費者庁ほどではないでしょう。各自治体も、経産省や国土交通省などを誘致するのは現実的ではないと思っている感があります。
【政府機関の地方移転】誘致提案に省庁反発 「対外調整で支障」 組織の肥大化懸念も

さらに国民生活センターも、消費者庁と同時に移転するという計画です。研修施設は相模原に残しその他の機関のみ移すという計画のようです。各地の被害事例のデータベースの管理や製品テストなどは、地方でもできないとはいえませんが、経験豊富な専門の相談員が個別の事例の相談、斡旋などを行っていたりもします.この人達が全て徳島に行くのは不可能です。徳島の消費者センターは、全国的にも頑張っているという話は聞いていますが、それにしても、マンパワー不足の懸念は否めません。

以上のとおり、消費者庁の地方移転では、考えなければいけない問題が沢山あります。にもかかわらず、徳島移転は、弁護士会が何も言わなければ、そのままあっさり移転が認められてしまいかねない雰囲気があったと聞いています。そこで慌てて、意見書をとりまとめたというのが経緯です。

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