「実質無料」の手口

またかなり久しぶりですね。

こんな記事を見つけました。
ゴルフ関連会社 練習用ソフト販売でトラブル
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170330-00000005-kantelev-soci

しばらく経ったら掲載終了してしまうと思いますので、概要をここでも書いておきます。
スウィング分析などに使うゴルフ練習用ソフトを総額400万円、1ヶ月あたり6万5000円ほどのリース契約をしてもらう、その上で、契約者のホームページも無料で作成し、月6万5000円支払うので、実質無料でゴルフ練習用ソフトが手に入る、という触れ込みで、最初はきっちりお金が払われていたが、最近になって支払が止まり、リース契約の分を自分で支払わなければ行けなくなった、という事件のようです。

実はこの手口、10年以上前に消費者相手に流行った手口ほぼそのまんまなんですよね・・・。当時は、モニター商法とか内職商法などといわれていました。
私が新人の頃、初めて消費者被害の弁護団にかかわり、事務局長をさせてもらったのが、まさにこの商法の事件でした。リーディングという会社だったのですが、布団とか、高周波治療器とか低周波治療器などを1か月の支払3万円くらいのクレジット契約で買ってもらい(総額は数十万円。実際の商品の価値の10倍以上です)、A4用紙1枚くらいのアンケートに答えるとか、ダイレクトメル5~10通程度の宛名書きをすることで、毎月4万円くらいがもらえ、実質1万円ぐらい利益が出る、という商法でした。
そんな簡単なアンケートや宛名書きに4万円もの価値があるわけもありません。クレジット会社は、業者に対して代金を一括払いしますから、その代金の一部をそのままこの4万円の支払のします。そうしてある程度販売し、顧客に対する支払が新しく契約することでもらえる立替金を超える辺りで、会社をつぶし、残っている人間を持ち逃げするわけです。
これについては、このような商法が流行った後、割賦販売法というクレジットに関する法律で、代金支払が止まったらクレジット会社への支払もそれを理由に拒むことが出来るようになりました。クレジット会社も慎重に加盟店を審査するようになったため、この商法は見かけなくなりました。

さて、練習ソフトの商法、手口としては、全く一緒ですよね。新しいリース契約を次々に結んでもらったお金で、広告料という6万5000円という金額を支払い、お金が十分集まったのでドロンしたのでしょう。
違うのは、業者相手で、リース契約だという点です。というのも、上のように支払を拒むことが出来る法律は、消費者相手でクレジット契約だからです。法的な扱いとして、事業者相手であるリース契約には、このような法律はありません。だから、リース会社はクレジット会社に比べると商法に対するチェックが甘い傾向があるように思います。
実は、ここを狙った商法というのも、特に新しい問題ではなく、一時期流行ったのが、電話勧誘販売で「デジタル回線化で今の電話は使えなくなる」等というばかげた嘘を言って、それを信用した人(業者ではあるがほとんど引退している高齢個人事業者など)にビジネスフォンをリース契約で購入させる事件がありました。いくら自業自得といってもここまで見え透いた詐欺にだまされた人からリース業者が儲けるのもおかしいということで、消費者庁や経産省は、リース会社と悪質業者を一体と見て、、特定商取引法上のクーリングオフをすることが出来る可能性があるという通達を出しました。
特定商取引法も消費者対象の法律ですので、この事件で適用されるかというとかなりハードルは高いです。
リースであっても、事業者であっても、詐欺商法に対する保護制度はあるべきではないかと思います。詐欺で泣いた人から取立ててリース会社が儲ける構造は、決して健全とはいえません。

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