先週のことですが、東京出張のため空港に移動中、FMラジオで銀行によるカードローン規制の動きについて取り上げていました。
全国ネットの放送だったようですが、経済評論家という人の解説があまりにもひどく・・・この機会に、ブログで問題点について整理しておく気になりました。

この経済評論家の方の解説は、概ね以下のような内容でした。

①現在、国会で、銀行についても総量規制導入が審議されている。
②銀行は、マイナス金利政策の影響もあり、貸し先を探しているが、企業は内部留保が潤沢なのでどこも借りてくれない。そのため消費者にターゲットを絞っている。
③しかし、消費者に対する貸付は、ほかから借りているかどうかも十分把握できずリスキーだ。

②は私の専門領域ではなく、この解説者の専門だと思いますが・・・。素朴な疑問として、どんな優良企業を念頭に置いているんだろう?と思いました。しかし、あまりにいただけないのは③です・・・。銀行は、ノーリスクだから消費者にターゲットを絞って貸すのですが、その問題状況どころか、昔ながらの法制度さえ理解していないようでした。

まず、国会で審議されている銀行への規制について説明します。

現在、サラ金やクレジットなど貸金業登録を行って貸付をしている業者は、総額で年収3分の1以下の範囲でしか貸すことができないことになっています(総量規制)。しかし、銀行や信用金庫等は、貸金業登録とは別の規制に基づいて貸付をしていますので、この規制が及びません。

このため、生き残りをかけたサラ金や信販会社は、自らは保証会社として銀行のカードローンの貸付を保証し、消費者に対しては銀行が貸し付けるという構図になっています。かつては、銀行は自分の子会社である保証会社に保証させていたのですが、今は、サラ金やクレジット会社が保証に入っているのです。この結果、大手サラ金の殆どは、自分が直接貸し付ける額よりも、銀行に対する補償額のほうがうわ待っている状態のようです。
この問題に取り組んでいる弁護士の話では(元ソースは不明)、銀行は、年収の7~8割くらいまでなら貸していいと思っているようで、まさに、総量規制の脱法行為です。

最近、銀行のカードローンのCMがやけに目立つと思いませんか?背景には、このような事情があります。
これでは、何のための法律か分からないので、銀行に対しても総量規制をしなければいけないのではないかという話になっているわけです。

ところで、当然のことですが、「総額で3分の1」かどうかを確認するためには、ある人にどこの業者がどれだけ貸しているかを貸金業者各社が確認できないといけません。というか、総額の規制があろうとなかろうと過剰貸付は誰のためにもなりませんから、「信用情報機関」という貸付の情報を共有する機関を設けてあり、銀行もサラ金もクレジットも、情報を共有しています。

ここまで書けばお分かりと思いますが・・・。銀行は、貸す人が他にどこから借りているか把握した上で貸し付けていますし、仮に貸し倒れになったとしても、サラ金やクレジット会社が保証してくれます。つまり、リスキーなんてことは全く無く、ノーリスクなのです。
自分で目利きして業績の芳しくない中小企業に貸すよりも、ずっと安全です。しかも、消費者向けの貸付は10%以上の金利。どれだけ保証料を払っているのかは知りませんが、企業向け貸付よりもずっと利率が高いのです。
このままだと、消費者による多重債務問題の再燃と引き換えに銀行とサラ金が儲ける構図になってしまいかねません。
早期の法改正が期待されるところです。