今やってる事件で、残業代請求の事件があるのですが・・・。なかったはずの就業規則が出てきています。
何の根拠もなく、ねつ造だと決めつけるのは、弁護士の立場だと慎重にしなくてはいけないのですが・・・。

就業規則は、本来労基署に提出しなければいけないのですが、提出していません。事前に聞いていた話では、労働基準監督署が事情聴取の際就業規則を持ってきてくれと言ったら、服務規律だけ書いた2~3枚の文書を持ってきたとのこと・・・。このため、裁判で就業規則が出てきた時は正直ビックリしました・・・。

肝心の争点のところの、給与規定もむちゃくちゃなのですが・・・就業規則の部分もひどい。ひどいというか、貴方何の会社?という感じです。

飲食等の一般向けサービス業の会社なのですが、就業規則を見ると、「工場長」だの、「安全帽・安全靴・安全対タイなど、会社が指示した安全衛生保護具を正しく着用すること」だの、工場とか工事現場で業務することが前提になっているような就業規則なのです・・・貴方の業務の中にそんなものないでしょ、という・・・。どこか他の会社から借用して慌てて作ったとしか思えません。

支払拒否をする理由も二転三転するし、和解がまとまる前に勝手に振り込んできた金額が多すぎたとか言い出すし、主張すれば主張するほどドツボにはまっていく典型の事件だと思っています。

ただ、こういう訴訟ならいいのですが、欠陥住宅などの事件だと、こういうツッコミどころ満載の事件というのは、ある意味怖いのです・・・。

建築業者というのは玉石混交で、いい加減なことをたくさんやっている会社というのはごまんとあります。しかし、落ち度をいちいち全部問題にしていくと、逆に裁判では不利になったりします。
なぜか?裁判官も法律以外の分野は素人なので、言い合いになると、どっちが正しいことを言っているのか自信がなく、雰囲気とかイメージの色眼鏡で見るようになる傾向があります。正当なクレームなのか、言いがかりなのか区別がつかないまま、あれもこれもと細かいところまで言っているが、これはむしろ言いがかりなんじゃないのか?というバイアスをかけて事件を見られてしまうことがあります。

したがって、裁判官が必ずしも詳しいとはいえない知識が必要な問題では、大きな点に絞り、できる限り詳しく説明する、という主張の仕方が重要になります。
悪いところをたくさん挙げれば勝てるというわけではないのです・・・。