覚せい剤の初犯

某芸能人が覚せい剤の事件で逮捕されたようですね。

このニュースに関して、朝の番組でのコメンテーターの弁護士が、「所持だけでなく使用が立件されれば重くなるし、常習性があったとすればそれも重くなる」というような話をしていました。

尿検査をすると、●日前に使用したら検査に出る、毛髪鑑定なら何ヶ月も前の痕跡も残るので、常習性があるかが判断出来る、というようなことを紹介した上でのコメントでしたが・・・。

正直なところ、大間違いです。少なくとも私は、初犯の単純覚せい剤事案の場合、懲役1年6ヶ月、執行猶予3年、の判決しかもらったことがありません(単純、というのは営利目的ではないという意味です。)
2~30年前は、もう少し量刑が軽かったようで、前科を確認すると、それよりも短い初犯の事件というのを見たことがありますが、少なくとも私が弁護士になってからの14年、この量刑に統一されています。

使用の罪だろうと、所持の罪だろうと、所持と使用の両方の罪が立件されていようと、証拠上常習性が認定できそうだろうと、全て同じです。

もちろん、実際に所持しただけよりも使用した方が本来罪状は重いでしょうし、初めて使って捕まった人と、毎日のように使っていた人とでは毎日使っていた人の方が罪状は重いでしょう。

しかし、実際には、摘発できるのは氷山の一角であり、初めて使用した人が捕まるケースはほとんどありません。要人、有名人が陥れられて出来心で使ったときの証拠を残されるか、覚せい剤が体質的に全く合わず、初回から錯乱して保護されるようなケースくらいでしょう。
したがって、証拠が集められるケース=実際に犯した犯罪として、たまたま証拠がたくさんあった人について量刑を下手に重くすると、実態とかけ離れるケースがむしろ多くなってしまうのです。

なお、弁護士の間では、否認したケースでは量刑が重くなる場合もあるのではないか、という話が出ていましたが、それはありうるかもしれません。本来あってはいけないと私は思っていますが、実態として、事件によってはそういうこともあります。

<追記>
江夏裕は一発実刑だった、という話が出てきたので、確認してみたのですが、52gの所持という未確認情報が出てきた。実際こんな量だったのかは分かりませんが、営利目的なしでこんな量を所持するのは通常考えられない、というくらいの多量です。
というのも、初心者が使う量が1回あたり0.03gくらい。とことん常習で量が増えてきた人でも0.2gで、そういう人はかなり希です。つまり、本当に52gだとすると、常習者が毎日(時には複数回)使っても、1年では使い切れない位の量なのです・・・。
そこまで行くと、実刑もありうるかなあとは思います。実務で出くわす単純所持の事案というのは、1gも行きません。

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