一昨日、こんな記事を見かけました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150428-00000021-nksports-ent

正直、今回は事件の内容はどうでもいいのですが・・・(笑)スポーツ新聞の記者が以下に裁判手続を知らないか、ということで、これを読んだ弁護士の間ではちょっとした話題になっています。

「1月20日に第1回口頭弁論が開かれたが、その後は弁論再開までに双方の証拠提出などの準備が必要となり、口頭弁論は再開されていない。

 被告側代理人によると、この日は被告側が証拠を提出。次回はこれを受けて原告側が証拠提出の予定で、当面、口頭弁論の再開はなさそうだという。

 次回は6月1日、同じく非公開の弁論準備として行われる。」

まるで、紛糾していて、口頭弁論ができないかのような書きぶりですよね・・・。しかし、この弁論準備というのは、立派な手続で、異常事態でも何でもありません。
どんな裁判でも、争点整理には、何回かの期日を重ねる必要がありますが、弁護士がついているケースでは、たいていの場合ここに出てくる「弁論準備」という手続を使う方がむしろ普通です。
弁論準備は口頭弁論に比べて、
①法廷を使わず、会議室のようなテーブルの部屋でもよい(部屋が多く指定の曜日もないので、期日が入れやすい)。
②手続が非公開になる。
③電話会議という、一方が遠方の場合に電話で繋いで行う手続が使える。
等の柔軟さがあります。

たいていの場合は、証人尋問の直前までは、この弁論準備で進行します。したがって、「口頭弁論は再開されていない」というのは当たり前ですし、当面予定がないのも当たり前でしょう。

おそらく、芸能関係の民訴法なんて全く知らない記者が書いたのだとは思いますが、それくらい勉強しておいてくれよ、と思うばかりです・・・。まあ、スポーツ新聞の場合、何も知らない大学教授に刑事裁判の見通しを聞いたりして、とんちんかんなことを答えている、というケースも珍しくないのですが・・・。